No.332 22年度指導者講習会が終了 at O.C.C.I.
■ 12月19日、22年度指導者講習会の最終日2講座が終了し、閉講式を行った。8月の第1日目は、「計算力の魅力」(岸本)+「塾経営と税務」(桑野)、9月の第2日目は、「そろばん指導で子供は変わる」(田村)+「私のそろばん」(磯田)、12月の第3日目は、「とことんそろばんを活用した算数」(小川)+「そろばん指導で学力アップを確認」(上田)のラインナップであった。
■ 第5講座の小川 束先生は、数学+数学史+数学教育が専門の四日市大学の教授(学術博士)である。また、関孝和数学研究所副所長でもある。江戸初期から社会活動を支えてきた和算(数学)の話、建部賢弘(1664~1739)が著した『綴術算経』(1722)(将軍吉宗に献上)に書かれている43桁の円周率の計算、その複雑な計算はすべてそろばんで行われたこと、2009年には珠算の高段者4人がかりで、足掛け3日、18時間以上を費やして建部の計算を再現したことなどを前段の内容とした。
■ 講義の後段では、5月から、日本数学協会と日本珠算連盟との共同研究がスタートし、二つのテーマの研究が進行中であることを紹介した。一つは、「そろばん式暗算のメカニズムの解明」、二つ目は、「そろばんをソフトにした算数教科書の作成」である。研究は、順調に進行し、来年3月には中間報告が行われる。
■ 最終講座は、尼崎市のいわゆるそろばん特区(計算科を新設してそろばん指導を重視したカリキュラム)の誕生に至るまでの経緯とエピソード、7年目の展開が行われている現況とを、わかりやすく時系列で紹介した。講師は、尼崎市立杭瀬小学校上田康夫校長である。オンリーワンのそろばん特区が成功し、全国から注目を集めている理由が聴講者によく理解されたことと思われる。
■ 他府県・他市町村で、尼崎市と同じことができるとは考えにくいが、創意と工夫を加えれば、同様の効果をもたらす仕組みを作り出すことは可能であるはず。各地で、オリジナリティーを加味した施策が待望される。
■ 第5、第6講座ともに、刺激的で、啓発効果の高い、良質の講義であった。各地の組織運営と、珠算教育強化に生かしてもらえれば幸いである。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント