No.314 大阪市議会議員団と教育懇談を実施 at Osaka City Council
■ 9月13日、大阪市会の7階会議室で、大阪市議会議員団と教育に関する懇談会を行い意見交換を行った。テーマは、「珠算指導強化と大阪府内小学生の基礎学力向上策」であった。7月30日に公表された第4回全国学力テスト(算数・国語・数学)結果によると、大阪府内の小学生(6年生)は34位、中学生(3年生)は45位であった。前回は小学生が33位で、中学生は45位であったので、今回のテストでは両者ともにほとんど順位には変化がないと考えてよい。
■大阪府内の子供たちの学力がここ数年低迷を続けていることに、教育にかかわるものとしては大きな不安を持つとともに、いかに順位を上げていくのかに注意と関心を持たざるを得ない。大阪府・大阪市ともに、学力の低迷については危機感を共有しながら、いくつかの対応策を講じてきているが、いまだ大幅な改善の兆しは見えてこないのが現状である。
■一方、珠算指導を強力に行うことで、子供たちに大きな変化が出ることが、各種の実験で明らかになってきた。長期間、珠算学習を行うことで子供たちの前頭前野の発達が促されることが明らかになってきた。前頭前野が活性化されると、情緒の安定がみられ、学習意欲も増進することがわかってきた。そのほか、集中力・耐久力・瞬発力・計算力・暗算力・記憶力なども向上するといわれている。
■ 平成16年度からは尼崎市で「計算特区」が行われ、「計算科」を新設して珠算指導が積極的に行われてきた。現在では全市43小学校で一人当たり210時間の珠算指導が行われている。学年で約50時間の配当になる。7年目に入っているが、珠算指導効果のデータが集まり、子供たちの学力が向上してきたことが立証されている。算数科のみならず他教科の成績も向上していることが注目点である。珠算指導で学習意欲が向上したことの証左と言ってよい。
■これらの事例を参考にしながら、大阪府内においても、珠算指導を強化することの是非を一昨年から議会関係者との間で論議と意見交換を重ねてきた。今回は、大阪市内の小学生に珠算指導を強化することができれば、学力の向上が期待できるのではないかという観点から、意見の交換をした。
①学習指導要領にのっとった範囲では、3年生と4年生で合計7時間程度の配当指導時間である。この限られた時間内で指導を効果的に行うために、平成12年度から実施している学校支援活動をもっと拡大させる
②大阪市内の限定したエリアで、尼崎方式を実験的に展開する
③小学校教師の珠算指導力を短時間で確保させる
■ 上記3つの課題について意見の交換を行った。珠算界のエネルギーをフルに活用することで、大阪エリアの子供たちの学力向上に役立つことを前提としたいい議論ができた。短期間で解決できるとは思わないが、できることから手を付けて、子供たちの学力向上の実現をめざしたい。
■3月9日には、井上英孝市議会議員が、大阪市議会本会議の文教経済委員会で珠算指導の強化について質問を行い市教委からの回答を得たことはNO.282に記述したとおりである。今日の懇談会は、市議会サイドからは多賀谷俊史、床田正勝、加藤仁子、西川ひろじ、永井啓介、柳本 顕、川島広稔の各議員が参加した。珠算界からは森友 建、田中賢一の二名が参加した。
■ 大阪市の教育行政にとっては、教育の現状を直視し、学力向上を目指して何ができるのかを検証することは重要な作業であり、珠算人サイドにとっても、自分たちの持つノウハウをボランティアで提供して、大阪市内の子供力を向上させることができるとすれば、地域行政のあるべき姿になるのではないかと考えている。純粋な議論ができたことで、満足感の残る会合であった。
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