No.302 小中学校ICT教育推進が具体化 in Japan
■ 6月1日付け読売新聞31面に、「デジタル教科書急増・・電子黒板普及で」という見出しの記事が出た。記事の概要は次のようなものである。23年4月からの新学習指導要領に則った小学校教科書全51点の内、保健・音楽を除く28点(55%)について、電子黒板に対応した指導用デジタル教科書が発行される予定であり、検討中のものをいれると69%にのぼる。
■今年度は、小中学校国語でそれぞれ1点ずつ、中学校英語で1点が発行されている。国語用は、小学校3000校と中学校850校、英語は中学校800校が採用している。
■23年度に発行数が急増する理由は、学習指導要領の全面改訂に加えて、21年度末で全国の小中学校32000校に、電子黒板が1台ずつ導入されるからである。電子黒板は、大画面のデジタルテレビモニターを使った映像端末。iPhone や iPad の巨大版といえる。
■民主党新政権では、電子黒板と並行して教科書のICT活用を重視して、昨年12月22日に担当大臣が原口ビジョン二つを発表した。「緑の分権改革推進プラン」「ICT維新ビジョン」である。後者の「地域の絆の再生」の目標の中で、「デジタル教科書をすべての小中学校全生徒に配備(2015年)」と設定されている。施策の一つ、フューチャースクールによる協働型教育改革のなかに位置づけられている。(ICT=情報通信技術・・Information and Communications Technology)
■ 21年度の統計では、小学生7,063,606名、中学生3,600,319名であるから、5年後には約1000万人の児童・生徒が電子教科書を持つようになる。2年以内に、100ドル以内のタブレットモデル「XO3.0」がリリースされるようであるが、費用負担の問題とあわせて、これら電子デバイスを使用することで学習効果がどのように変化するのか、教師の運用能力がどのように確保されるのかなどの悩ましい問題が予想される。行政の分担、文部科学省と総務省のビジョンの温度差や、アメリカはじめ諸外国の状況把握などに注目していきたい。
■ なお、4月には「デジタル教科書協議会の設立について」という呼びかけが行われ、6月設立総会開催を目指し、幹事及び一般会員を募集している。2015年に全小中学校生がデジタル教科書を持つとい政府目標の実現をはかるため、課題整理、政策提言、ハード・ソフト開発、実証実験及び普及啓発を進める。呼びかけ人には、蔭山英男、孫 正義、小宮山 宏、川原正人など7人の有識者が名前を連ねている。
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