No.293 読売新聞大阪本社が外国人講座を取材 at O.C.C.I.
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4月24日、読売新聞大阪本社メディア戦略室編集部記者中山亨一氏が、外国人のための珠算講座を取材した。同講座は、1986年6月に開講し、現在まで84ヶ国955名の外国人が受講している。今年6月には、開講25年目に入ることを記念しての取材であった。
■同氏は、21年6月23日報道の記事を皮切りに、既に8本の珠算関連報道記事を同社のインターネット配信動画ニュース(関西動画よ~みて)で報道している。今回の報道で9本目となる。
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日本人と日本社会が500年間活用し進化させてきた計算技術であり文化でもあるそろばん(珠算)を、これからの社会の中でどのように位置づけて活用するのか、或いはしないのかを、外国人の知識階級の人たちに問いかけてみることを狙いとして開講した講座であるが、25年間の活動の中でその答らしきものを得られたと考えている。
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受講生の殆どが高学歴者で、教職に関わるものや、研究者、留学生が特に多いのが特徴である。彼らは、日常的にコンピュータを使用し、研究活動などに生かしているが、操作の過程が全く見えないコンピュータの使用には随分不安感を覚えていて、それが長期間蓄積していることでストレスを感じている部分がある。このような生活の中で、そろばんを学び上達していく中で、操作が明快であり自身で確認しつつ答えを導き出す計算システムは、彼らにとっては大きな驚きであり、その間のギャップを感じさせるものである。そろばんの学習を続けていく中で、自身の中に計算能力が備わり、暗算の能力も確保できてくることは、自分に対する自信となって、精神的安定にもつながっていくことに少なからぬ驚きを覚える。
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科学が発達し、機械万能の社会に傾斜していく過程で、自分の持つ力を使って計算を行えるという事実を自覚した時に、そろばんによる計算力を認識すると共に、人間が本来持っている素晴らしい能力を再発見することになる。そろばんを学習することで、自分自身を見つめなおすことにもなる。彼らは、そろばん学習を通じて、素の人間が持つ生きる力に改めて気付くという効果を認識することが出来た。
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成人した研究者レベルの学習者がこのような意識を持つのであるから、成長過程の子供たちにとって、そろばん学習の持つ意義はもっと大きいと考えていい。特に、基礎学力の構築時に、自分の力で問題解決能力を高めていくことは、自信につながるし、将来の知的活動を容易にしていくことでもある。
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また、そろばんは、世界性があり、普遍性を持ち現代性をも併せ持つということも、彼らから教わった。受講する外国人は、そろばんを東洋の高度な異文化であり、特異な計算技術であるといい、とてもヒューマンなテクニックであると評してくれる。
■そろばん学習が、特に子供たちの脳の活性化に有効であり、情緒を安定させ、学習意欲の向上にも役立つことを知って、多くの受講生は、母国に帰った後、身近な人たちにそろばん技術を伝える活動を行いたいという。
■世界中の国々が、教育成果の向上をいかに実現させるかで課題を抱えているが、そろばん学習の有効性を認めて、自国の教育力向上に役立ててくれれば有り難い。今回の報道は、5月の連休明けに読売新聞大阪本社の動画ニュースで見ることが出来る。
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