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2009年12月31日 (木)

No.265 平成22年1月1日 年頭所感 「珠算教育強化の骨格」 in Japan

平成22年〖年頭所感〗

珠算教育強化の骨格

新年のお祝いを申し上げます。

年頭にあたり、珠算教育界の現状を分析すると共に、珠算指導の理念を明らかにして珠算教育強化の骨格を考えてみたい。

■珠算界の現状認識

今、珠算の教育効果を評価し、特に初等教育の中で珠算指導を強化すべきとする時代の流れが出来上がってきた。教育界でも、珠算学習を通じて基礎学力の構築、子供力の向上を図るべきであると考え始めている。

社会全般においては、長期にわたる電卓・コンピュータの普及が進み、より早く、より簡単に答えを求める合理性、効率性が重視され、機械に頼る傾向が徐々に強まっている。その結果、幼少年期に必要な蓄積を要するトレーニングが敬遠され、物事を継続して行う力と耐える力が減退し、子供たちの学力低下にも微妙な影響を与えてきた。

しかし、数年前から珠算学習者が大幅に増加してきた。その理由は、そろばんを使って算数の基礎的な部分を学ぶ有用性と楽しさ、そして、分かりやすさが見直されてきたことと、珠算学習が基礎学力構築と人間力養成に有効であることが明らかになってきたからである。今一つの理由は珠算式暗算力の習得であろう。最近、珠算式暗算のすばらしさと不思議さに国内外の数学者が注目し強い関心を持ち始めた。特に、海外の教育界は、珠算の教育的効果と社会貢献度の高さに強く注目し始めている。

この珠算教育再評価の流れは次の要素が形作ったと考えられる。

9年間の学校支援珠算指導活動の全国展開

②平成16年度からの尼崎市「計算(そろばん)特区」による珠算指導の展開により、珠算学習の教育的効果が明らかになった

11年間の各珠算団体や各地エリアの珠算教育強化PR展開で、“今なぜ珠算なのか”が明快に説明され世論の珠算理解を促進した

 ④約30年間のゆとり教育が子供たちの基礎学力低下につながり、教育再生の盛り上がりを生み出した

 ⑤子供たちの基礎計算能力の低下が親たちの危機感を増幅させた

■日本珠算連盟運営の理念 

減少し続けた珠算学習者数が平成18年度から増加に転じ、その後年率数%ずつの伸び率を示している。努力の末手にした珠算再評価の流れをより確たるものにするためには、現代の科学主義・効率主義の時代に“なぜ珠算なのか”のより明快な説明とともに、日珠連の経営理念(規範・原理原則)の確立が求められる。その理念の枠組は以下のように構築している。

①自己規制➠品位と品格を保持(公正中立+公明正大+無私無欲)

②活動基準➠社会貢献の実現と会員の利益優先

③指導基準➠生徒の人間作り、基礎学力構築、伝統文化伝承、脳機能開発

■まとめ

今後の課題は、文科省の珠算理解度向上、学校サイドとの連携強化(現場での珠算指導支援と教師の珠算指導力確保)、珠算の学術的研究推進などである。中でも、今後の珠算教育強化を決定付けるものは、珠算学習が子供たちの脳機能活性化に役立ち、教育的効果をもたらすという研究データ(情緒の安定と学習意欲の向上をもたらす)をエビデンスとして広報しながら、珠算指導を効果的に行い、珠算に対する社会の評価を獲得することであろう。そのことこそが珠算指導の究極の目標といえる。

■本稿は、日本珠算連盟 森友 建理事長が執筆した。

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2009年12月30日 (水)

No.264 第3回目予算編成会合開催される at Tokyo Forum

Photo 12月26日、日本珠算連盟予算編成作業を行う第3回目会合が東京フォーラムで行われた。参加者は、森友 建理事長、森田悦男財務担当副理事長、中山専務理事、高梨事務局員の4名であった。22年度事業計画と収支予算案の作成は、11月7日に第1回目会合を4部長を交えて行った。第2回目会合は12月12日に会計顧問、会計担当理事を交えて開催した。今回を入れて前後3回の会合でほぼ作業を終えて、1月の正副理事長会と総務会で審議を経て、3月の正副会並びに総務会で微調整を行い総会で審議の上承認を得る運びになる。

■2009年の軌跡は、PR事業の重層的な展開、新学習指導要領の重要事項先行実施を受けて4月から4年生でのそろばん指導の開始、尼崎市立43全小学校でのそろばん指導スタート、検定受験者数の順調な増加などという好材料が並んだ。

Img_0001 珠算学習の効用も、基礎学力の向上、脳の開発・活性化、子供力・人間力向上などに集約され、世論の中で定着した。それに伴って、連盟の活動基準も明らかになってきた。すなわち、珠算教育普及・強化を計ることで日本の教育再生をサポートし社会貢献を実現するという図式である。

■珠算教育の到達点(究極の目標)は、品性ある日本人を作り出すことと、地元にとどまらず、日本、世界に貢献する人材を生み出すことである。古くても善いものは踏襲し調和の道を探ることが大事であり、論語にいう温故知新を規範にしたい。

■事業と予算の骨格(理念)は、PR活動の積極的展開(今何故そろばんなのか?を説明)、再生産を目指す先行投資(主として研究活動)、構成会員への還元の3本柱である。攻撃型積極経営といってよい。

■研究分野では、有識者懇談会との共同作業で「そろばんを前提とした算数教育」の研究と、日数協との共同研究で「珠算式暗算のメカニズム解明」をテーマに作業を進める予定である。

■2010年は、珠算指導に関する教育的評価が一層大きくなることが予感されるので、連盟の持てる力を結集して大きな成果を目指して頑張りたい。

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No.263 大阪府会議員との教育問題懇談会を開催 at Bentencho

Img 12月28日、大阪府議会議員3名と大阪府下の教育問題について懇談を行った。参加者は、住吉区選出中野まさし議員(府議会健康福祉常任委員・関西広域連合特別委員)、港区選出三田勝久議員(府議会警察常任委員・決算特別委員長)、守口市選出西田 薫議員(府議会教育常任副委員長)、日本珠算連盟森友 建理事長(社団法人大阪珠算協会副会長)、(社)大阪珠算協会田中賢一監事、(社)大阪珠算協会西井昭生事務局長の6名であった。

■懇談のテーマは、大阪府下の学力を今後向上させる方策は何であるのか、その過程で珠算界が協力できる部分はどこであるのか、日本の伝統計算技術であり優れた文化でもあるそろばんをどのように評価し、現代教育技術といかに調和させることが出来るのか・・などであった。

■具体的には、新学習指導要領で3年生と4年生でそろばんを指導することになっているが、現実には解決を急がねばならない課題がある。その一つは小学校教師のそろばん指導力の確保である。今ひとつは、教師がそろばん指導力を備えるまでの学校支援活動の強化である。

Img 大阪府下では、平成12年度から珠算人が小学校に出講してそろばんの授業を担任と協力して行うプロジェクトを毎年推進してきた。本年からは大阪府教育委員会とタイアップして展開しつつあるが、10年目の今年は現在で160校からの出講依頼が来ている。しかし、大阪府下の小学校数は約1040校であり、その依頼数は未だ不十分である。

■これらの課題を解決するためには、府教委が行っている新任教師の講座の中に「珠算指導法」をセットすることが最も有効と考えられる。また、将来的には、教員養成課程で同様の講座が必修とされなければならない。同時に、上記の学校支援珠算指導活動がもっと積極的に活用されなければならない。

■そろばんという古くても善いものは新しいものとの調和を図って、大いに活用することを考えたい。そろばん学習を真剣に行うことで、子供たちの前頭前野が活性化し、情緒の安定をもたらし、学習意欲を向上させることが科学的実験によりデーターとして示されている。今こそ、大阪府下の教育の中で、そろばん指導を学力向上の手立てとして活用を考えることは、教育行政にとっても価値があり大事なことといえる。

■江戸時代270年間、日本の教育を支え、経済活動の原動力となったそろばん学習を再考する時である。日本人が身に付けていたそろばんによる優れた計算力が根本のところにあったことが、明治維新という急激な時代の大変革を成功に導いた最大の要因であるということを想起すべきである。論語にいう温故知新の教えに学ぶ時かも知れない。

■大阪府下の教育再生に珠算人のエネルギーを注入することで、何らかの成果が期待できるのであれば、珠算界の総力を挙げての協力を惜しむものではない。教育行政サイドと府政の根幹を成す教育問題を考え、認識を共有できたことは有意義であったし、将来を見据えた、クオリティーの高い懇談であった。

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2009年12月24日 (木)

No.262 近団連幹部会+大阪府連合同会議開催される at O.A.A.

Img 12月23日、近団連幹部会+日珠連大阪府連の合同会議が開催された。大阪13名、兵庫2名、京都3名、奈良1名、滋賀1名、福井1名の21名が参加した。近団連藤本理事長の挨拶に続いて、日本珠算連盟森友理事長から珠算界の近況報告と日珠連22年度予算編成作業の進捗状況の報告が行われた。

■報告事項と協議事項は次の通りであった。
①21年度PRチラシの作成・斡旋の結果報告・・・53万部
②22年度上記チラシの作成を行うことを決めた
③22年度研修事業として、実践発表会を開催することとし、担当は京都とする。会場は京都商工会議所の予定
④次期近団連役員人事は、藤本理事長の留任を決めたが、副理事長の選出は次回に行うこととした
⑤近団連新規事業として「伝票算検定試験」を行うことを決めた。

■平成14年6月の第165回日商検定試験から伝票算が削除されたが、いまなお、実務界での伝票・帳票類の集計計算の必要性は高い。これらの計算を正確に行うためには伝票算の技術習得が不可欠(特に、位違いの計算能力確保を目指す)であることから、全国に先駆けて近畿エリアで、伝票算検定を創設し珠算評価の向上につなげていくことを決議した。

Img_0001 当該検定は、1級~3級までとし、伝票枚数は10枚、出題は20題、制限時間20分、140点以上で合格とする。1~3級検定試験にあわせての実施を原則とするが、実施形態は各団体で調整を行う。実施回数は年に3回とする。受験料は800円とした。

■位違い計算への対応力を確保し、社会人として実務伝票の処理が正確且つ迅速に行える能力を身に付けさせることが新検定創設の最大の狙いであり、このことが珠算教育強化に役立つことを願っている。22年6月からの実施状況を見ながら、将来的には日本珠算連盟に実施を要請することを目指している。各珠算塾の指導形態や指導システムが多様化してしまった状況下で、伝票算練習を挿入することは容易なことではないが、珠算学習に付加価値をつけるという観点から、実施には前向きに取り組んでいきたい。

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2009年12月20日 (日)

No.261 近畿連合拡大会議 at Bentencho

455 454 453 12月20日、近畿連合拡大委員会が全珠連大阪府支部会議室で開催された。日珠連系各地団体代表9名、全珠連代表10名、全珠学連代表1名の合計20名が参加した。なお、賛助会員(株)雲州堂社長日野氏と(株)新通の前田氏が参加した。

■珠算教育強化の活動が実り、検定試験受験者数が増加しつつある現在、各団体では積極姿勢に舵を切りつつある。中長期的な経営戦略としては、PR事業の推進(今何故そろばんなのかを説明するための)、再生産を目指す先行投資、組織構成員への還元の実現に焦点が当てられている。

Img 今日の会合では、22年1月~3月までの春の陣を支える21年度PR事業の締めくくり企画を審議した。提案した計画案はすべて承認された結果、下記のような内容の新春PR展開が実現することになった。

■近畿連合、日本珠算連盟、全珠連本部、大阪珠算協会が夫々の事業としてPRを展開することになり、今までに例を見ない重層的・集中的・攻撃的なラインナップとなった。

Img_0001 TVCM・・・83本(関西テレビ放送)+32本(朝日放送テレビ)=115本
ラジオ・・・64本(朝日放送系列)+20本(KBS京都ラジオ)
パブリシティ・・・「ありがとう浜村淳です」プレゼントコーナー5日分(毎日放送ラジオ)
中継ラジオ放送・・・1月3日のはじき初め大会実況中継(毎日放送ラジオ)
新聞広告掲載・・・大阪府内版5段(産経新聞)
USENアカチャンホンポ店舗放送・・・45秒CM 7280回(13店舗)
バナー広告・・・ベネッセウイメンズパーク 4週間

Img_0002 近畿エリアで展開されるPRの内容は以上の通りであるが、各種組織・団体が夫々の特徴を出しながら、珠算教育強化の旗印の下で、意識の統一が行いえたことは珠算界にとって画期的な前進であるといえる。22年度の珠算界飛躍が期待される。

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2009年12月14日 (月)

No.260 第2回予算編成会議開催される at Children's castle

436 438 442 12月12日、日本珠算連盟平成22年度予算編成会議が青山こどもの城会議室で開催された。議案は、22年度の事業計画素案、22年度一般会計収支予算原案、22年度特別会計収支予算原案の審議であった。出席者は、森友理事長、森田・鈴木・佐藤各副理事長、平瀬会計担当理事、武田会計担当顧問、中山専務理事、高梨事務局員の8名であった。

■事業計画案は、主たる柱に、①指導者養成と後継者対策の実施 ②教員に対する研修会の実施 ③日本数学協会との共同研究と有識者懇談会での研究の推進 ④PR事業の展開 ⑤HPを活用した情報伝達の促進 をセットした。

440 443 444 445 446 447 448 449 441 収支予算案については、PR展開の3年目実施分を組み込んで約22000万円規模になる。珠算教育に対する世論の理解が促進されつつあり、検定試験の受験者数は18年度から順調に上昇ラインを描いている。財政状況は安定してきており、主として、①PR事業の推進(今何故そろばんなのか?を説明する) ②研究の推進を中核とした先行投資の積極的実施 ③連盟構成員への還元の実現・・を重視した施策を盛り込んだ。

■11月7日に、第1回の予算編成会議を行い、各部長からの意見と提案を聞き取って、今回の第2回編成会議につなげた。12月26日には、第3回目の予算編成会議を開き、理事長、財務担当副理事長、専務理事、事務局担当者で原案を作成し終えることになる。

■1月の正副理事長会議、総務会で審議し、3月の諸会議での承認を得て、総会に上程し審議・承認を得る運びになる。珠算教育評価のトレンドが出来上がってきた今、積極的な事業展開を堅持して、なお一層の珠算教育強化の実をあげていくことを目指したい。

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No.259 待望の珠算学習書発刊決まる in Osaka

Img 2010.1.23、小学館からプリ具『自学そろばんプリント』が出版されることになった。幼児・低学年生向けのそろばん基礎構築を目的とした家庭学習用教材である。そろばんを使った加減算の基本から説き起こして、中級レベルまでの加減をそろばんで正確に計算できるまでを内容としている。

■中級以上の加減能力の習得や乗除算の基本からの学習については、珠算塾に通って身に付けていくという、役割分担を前提に執筆されている。

■学校教育、職場、行政、家庭においても、現代は、容易さ、便利さ、効率の良さ、手間のかからなさ、お金のかからなさに重点が置かれるようになってしまっている。特に、人間作りの根幹を成す基礎教育の基盤づくりにおいて、このような風潮がはびこることは、日本の教育効果を高めようとしている教育行政にとって、大きな障害となってきている。

■著者は、「おうちのかたへ」の中で、“そろばんは、その計算方法を意欲的に学び始めた瞬間に、単なる計算用具ではなくなります。自分自身をドンドン高めていく、まるで魔法の道具のような役割を持つようになるのです。集中して取り組んだあとに得られる充実した達成感や、ほんのささいな気のゆるみから間違えてしまったことへのちょっとした挫折感は、人間の心の成長には不可欠な栄養素です。これらの栄養素はそろばんの練習を続けていくうちに自然に経験していきます。”、と書いている。

■幼少年期の学習を継続して行うための基礎力構築をそろばん学習で確保することを主たる目的として、丁寧に説明と解説を行っている。合わせて、十分の練習問題を用意して、系統的にそろばんの基本を学んでいけるように配慮されている好著であり、著作のクオリティは高い。

■珠算塾で学ぶ前段階を正しく自習するためだけでなく、珠算塾生にとっても副読本(参考書)としての用途が考えられる。珠算指導者にとっては、難しいといわれている幼児や低学年の指導に役立つのではないか。

■著者は、(社)大阪珠算協会会員で、星の郷総合教室主宰 金本和祐先生である。なお、本書には、13桁のカラー玉を一部に使ったそろばんもパッケージされている。

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