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2009年8月31日 (月)

No.241 第63回全大阪オープン珠算選手権大会 その2 at O.C.C.I

239 240 241 8月30日に開催された第63回全大阪オープン珠算選手権大会は、午前中に団体戦と個人戦の競技を終え、続いて種目別競技の準決勝を行う。8種目+読上算+読上暗算の準決勝を経て勝ち残った各10名の選手たちで、午後から電光掲示板と自動計時器を使って決勝を行う。各選手の計算の進行と正誤が観客にデジタルな形でリアルタイムで理解できるため、各地で行われている各種競技会のなかでは評判がいい。ただ、選手の手元が観察しにくいため、今後はプロジェクターを上手く使って拡大映写を活用すべきである。

■今回の大会は、読売新聞社大阪本社メディア戦略室編集部中山亨一氏の取材を受けた。午前中の総合競技から取材し、特に午後の決勝戦はカメラを回し続けて取材を行った。選手たちの両手を使った計算には特に力を入れて撮影していたが、近日中に編集を行い5分程度の動画ニュースとしてインターネットで広く配信される。YOMIURI ONLINE のトップページの「動画よ~みて」に近々に掲載されることになる。

242 243 245 2時からの団体・個人総合競技表彰に先立ち、主催者を代表して(社)大阪珠算協会副会長 森友 建が下記の開会挨拶を行った。続いて、来賓者の紹介を行い来賓代表の全珠連大阪府支部長の桜井先生から祝辞を頂戴した。

■開会挨拶・・・本日は、全国の先生方のご協力とご支援をえて第63回全大阪オープン珠算選手権大会並びに21年度チャレンジャーズ・ステージが開催される運びとなりました。
全国各地から、231名の選手が参加いただき感謝しています。引率の先生方、万全の準備に当たられた全大阪委員会委員並びに応援のOBの方々に感謝しお礼を申し上げます。

さて、長期にわたる電卓・コンピュータの普及により、より早く、より簡単に答えを求める合理性・効率性が重視され、機械に頼る傾向が強まってきました。その結果、蓄積を要するトレーニングを敬遠し、物事を継続する力と耐える力の減退と共に学力低下が大きな問題となってきました。

しかし、数年前から珠算学習者が大幅に増加してきました。その理由は、そろばんを使って算数の基礎的な部分を学ぶ有用性と楽しさ、そして、分かりやすさが見直されてきたことと、そろばん学習が学習者の基礎学力構築と人間力養成に有効であることが明らかになってきたからであります。そして、今ひとつは珠算式暗算力の習得にあります。

最近、珠算式暗算のすばらしさと不思議さに内外の数学者が注目し始めました。7月には、珠算界と数学界が「珠算式暗算のメカニズム解明」をテーマに共同研究をスタートさせました。近い将来、その研究成果が世界の教育界に役立つことが期待されます。

今や、世界の人たちが言う、東洋の異文化、特異な計算技術“そろばん”を高く評価する声が一段と大きくなってきたといっても過言ではありません。

今日参加の皆さんは、珠算学習で計算力向上を図ると共に、将来のリーダーとして不可欠の思考力、全体を見渡す力とともに決断力を養っていただきたいと願っています。今日は、持てる力を遺憾なく発揮され覇を競っていただくことを祈念し挨拶とします。

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No.240 第63回全大阪オープン珠算選手権大会 at O.C.C.I

Img 8月30日、第63回全大阪オープン珠算選手権大会が大阪商工会議所において開催された。使用フロアは4階と決勝は7階の国際会議場であった。あわせて、平成21年度全大阪珠算選手権大会チャレンジャーズ・ステージも開催され、地階会議室と7階国際会議場を使用した。チャレンジャーズは昨年から開催されていて、大阪エリアの選手で日商2級合格し日本珠算連盟の段位検定試験で珠算か暗算のどちらかが5段以下が出場条件である。全大阪への中間ステップを設けて選手の裾野を広げていこうという狙いを持っている。

246 247 248 チャレンジャーズには小学生以下53名+中学生以上(中・高・大・一般)41名=94名の参加であった。全大阪には団体参加60名+個人参加77名=137名が参加した。両者合わせて231名の参加者数であった。

■チャレンジャーズ・ステージでは、小学校以下の部は今宮小学校5年生の一 長門君が845点で優勝、中学生以上の部は、清風南海中学校1年生告野 良君が780点で優勝した。種目別競技最高ポイント獲得富沢杯は一 長門選手が獲得した。

Img_0001 全大阪は、団体は早稲田大学(松田沙也香+堀内祥加+金子優希)が3570点で優勝、個人は新名哲也選手が1200点で優勝した。個人戦は満点が2名で、新名選手(大阪)と大関選手(北海道)の間で決勝が行われ、熾烈な戦いの末新名選手に栄冠が輝いた。両者共に38歳で選手としてはベテランに入るが、若い選手たちに強烈な刺激を与えるいい戦いであった。

■新名選手の戦いの後のコメントで、体力的にも精神的にも日本一を賭けての戦いをするには余りにも負担が重いという心境が吐露されていたが、今しばらくは現役で頑張り、若い人たちが自分のような年齢まで頑張れるということを実見して、何かを感じてもらえたら幸い・・・と、語っていたのが印象的であった。

249 250 252 種目別最優秀には土屋宏明選手がダントツで選ばれた。5つの種目別大会記録をクリアして、今も進化しつつあることを強く印象付けた。今回の大会は、午後の決勝大会の観覧席が満杯になり、会場には熱気が充満していたことが特筆される。また、上位に入賞する選手諸君の立ち居振る舞いが洗練されていて、礼儀正しい他者への接し方に大いに感動した。珠算の道を究めていくことで必然的に到達していく何か特別の世界を感じさせていた。珠算は道なのかもしれない。

■馬場担当常務理事の熱い情熱が同時進行での二つの大会実施を成功裏に終了させた。協会の先生方やOB有志の方々の献身的協力に感謝したい。

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2009年8月25日 (火)

No.239 第46回東西珠算懇談会 神戸で開催される その1 at Hotel Crown Plaza Kobe

Img 8月23日~24日に、新神戸駅隣接のホテルクラウンプラザ神戸で第46回東西珠算懇談会が開催された。隔年開催で大阪・東京・名古屋の3団体が持ち回りで開催されているので、大阪当番の開催は6年振りである。
東京関係5団体、名古屋関係5団体、大阪関係21団体に日本商工会議所と日本珠算連盟が加わり、合計33団体から201名が参加した。

Img_0001 Img_0002 懇談会の構成は、第1日目は第1部が基調講演と講話、第2部はシンポジューム、第3部は懇親パーティである。第2日目は早朝からの朝会食と主催団体の挨拶並びに横断幕の次期開催団体(日本珠算連盟名古屋支部)への引渡しで締めくくった。

■今回の懇談会の特色の一つは、会場ホテルを新幹線新神戸駅隣接の高級リゾートホテルとし、研修会場を10回のボールルームとしたことである。主として結婚披露宴会場に使用するフロアで、ファシリティは満足のいくものであり、ホテルサイドのホスピタリティも1級であった。何よりも参加者にとっては、この上ない交通の利便性がアドバンテージとなった。

Img_0005 特色の二つ目は、基調講演である。日本商工会議所常務理事 宮城 勉氏が「経済活動とそろばん」のテーマで40分間講演した。タイトルは「変化と変革」~世界、日本、企業、商工会議所そしてソロバン~であった。その内容は、①最近の経済情勢について ②変化に対応する企業・地域づくり ③変化に対応した商工会議所の取り組み ④そろばん・・・「いま何故そろばんなのか」を考える・・・の4点を柱にしての組み立てであった。

Img_0003_2 実例を挙げ、時代の変化に対応しながら企業の再生と地域づくりで成功を収める要件を示された。中でも、原点回帰と自発性のガバナンスにウエイトを置かれての話の内容には説得力があった。ビジョンとリーダーシップの必要性が強調されていたのが印象的であった。
大阪当番の懇談会は、毎回基調講演を組み込むことが特色であるが、今回の基調講演は極めて印象的で重厚な内容で、参会者の評価は高いものであった。

Img_0004 今回は、基調講演に続いて講話をセットし、日本商工会議所事業部長小野 明氏が担当した。「産業人材育成への取り組みとそろばん」がテーマで、日本商工会議所事業部の基本スタンスをベースに話を展開された。事業部では産業人材育成に積極的に取り組んでいるが、そろばんが社会人基礎力のベースになるのではないかという視点で論理の構成を行っていたことは大方の理解と賛同を得るものであった。示された観点は、そろばんを通じての日本商工会議所と日本珠算連盟の今後の関係再構築を考えるときの重要なポイントになるかもしれない。基調講演と共にグレードが高く好感度の強い講話であった。

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2009年8月15日 (土)

No.238 日経新聞特集記事 「どっこいアナログ」8月7日夕刊 in Osaka

Img 8月7日付日本経済新聞夕刊第1面に、「どっこいアナログ」(上) で、“そろばん、思考力育てる” とタイトルした記事が掲載された。サブタイトルは、“パソコンは便利だけれど”である。いまや、デジタルが技術や生活の中心に位置して、過去の生活や仕事の姿かたちが大きく変化した。しかし、時代から取り残された感があるアナログもしっかり生き残りを果たしながら役割を演じている場面が存在している。3回にわたりアナログが頑張っている場面を取材しているのがこの記事である。

■第1回目の取材対象は、パナソニックの珠算部である。岡田監督以下コーチ選手を合わせて10名である。全国各地で開催されるメジャーな競技会には必ず出場してチャレンジする。7月末には、ビッグサイトで開催されたあんざんグランプリジャパン2009、8月8日の全日本珠算選手権大会、8月30日の全大阪オープン珠算選手権大会などにも挑戦を続ける。

■日本の企業体で珠算部を残す唯一の企業であり、岡田氏が束ねる経理部はパソコンとそろばんが等しく両用されている。創業者の、1商人たるの本分を忘れてはならない・・という遺志を堅持するためである。

Img_0001 珠算部員は各部門に所属しているが、岡田氏は「表計算ソフトなら一瞬でできるが、過程が見えない。暗算やそろばんはなぜこうした数字になったのか過程を検証できる」という。他の部員は「電卓やパソコンだけに頼らない習慣をつければ思考力が途切れなくなるようになる」と、そろばんを評価している。

■タイトルにあるように、パソコンはまさしく便利であるが、答えのみが必要である場合はそれで十分かもしれない。しかし、世の中の活動では、答えに至る過程に眼を向けなければならない局面や、その回答にいたるプロセスに目を向けなければならない事例が多くある。建築における設計から基礎作りを経て、本体の建築を積み重ねながら、部分部分を修正し、調整しながら完成に至るプロセスを見れば、パソコンによる計算とそろばんによる計算の特色と課題が明快に見えてくるのではないか。

■パソコンの利便性と同時に特性をしっかり理解した上で利用することが大事であり、同時に、パソコンをコントロールできるだけの数感覚と計算力を持ちあわせることが要求される。機械に対する基礎知識も合わせて身につけておくことも大事である。要は、デジタル社会でアナログの果たしうる役割をよく認識した上で、良質なバランスを保つことが欠かせない時代であることを訴える好記事である。

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2009年8月11日 (火)

No.237 特集「そろばんで脳力UP!」 尼崎市報でトップ記事に in Amagasaki

Img 尼崎市は兵庫県の東端にあり大阪府の西端と境を接している。面積は49.81平方キロ、世帯数207,568、人口は462,610人である(平成21年7月1日現在)。毎月1日、市報あまがさきは市内の全家庭・事業所に配布される。2009年8月号(No.1517)は32ページ立てで、表紙から7ページを使って、今年から全小学校43校でそろばんが指導されている内容を特集して掲載した。

■表紙はそろばん授業に集中するクラス風景を後ろから撮影した写真、2ページはタイトル特集「そろばんで脳力UP!」と“生きる力を養います”、3ページは杭瀬小学校の授業風景と指導主任の藤本先生と担任山田先生のコメント、4ページはアンケート結果から、“子供たちの頑張りに保護者も好印象です”と「キッズ計算カップ」について、5ページは組み立て体験で“ものづくりを学びます”と市役所学校教育担当の指導主事福田先生のコメント、6ページと7ページにはそろばんの計算の仕組みが掲載されている。最後の部分では、尼崎商工会議所の“受験者は増える傾向に”の報告で特集を結んでいる。

Img_0001 Img_0002 平成16年度から始められた「計算科」でのそろばん指導は、6年目の平成21年度には全43小学校でそろばんを指導するという理想的な形に発展した。教育行政サイドからは、そろばんは、数量を目で見てとらえることが出来るため、繰り上がり・繰り下がりといった計算の仕組みを理解するのに大変優れている。また、日本の伝統文化の良さを体験できるという利点もある。さらに、そろばんには、計算力がつくだけでなく、右脳の発達や集中力の向上、持久力・忍耐力を身につけるといったことにも教育効果がある。今後も計算科の取り組みが、学力向上はもちろん、子供たちの生きる力の育成につながっていくことを期待している、とコメントされている(市役所学校教育担当 指導主事 福田明美先生)。

Img_0003 Img_0004 最近の子供たちへのアンケートや保護者へのアンケートでは、計算科でのそろばん指導は高い評価を得ていることが分かる。タイトルに、“そろばんで脳力UP!”と書いた内側には、尼崎市議会、教育委員会、学校現場、市民全体の新しい教育のあり方に対する自信と決意がうかがる。同時に、全国で唯一の試みを成功させてきた充足感が感じられる好特集記事であった。

Img_0005 Img_0006 本市報の記事コピーは、過日、守口門真珠算協会の肥後照美先生から入手していたが、本日、藤本和彦先生から本誌を頂戴した。全ページ写真を参考までに掲載した。両氏にお礼を申し上げたい。

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