No.233 日本数学協会 上野健爾会長と懇談 at Odaiba
■ 7月12日、日本数学協会上野健爾会長ほか幹部とホテルグランパシフィック Le Daiba で懇談した。当日は、日本数学協会から、四日市大学 関 孝和数学研究所 所長の上野健爾先生、埼玉大学岡部恒治教授、多摩市立多摩第二小学校教諭 有田八州穂先生が参加、日珠連からは、森友 建理事長、珠算教育強化・連合委員会委員長草柳康子先生、中山 洋専務理事が参加した。
■ 日本数学協会は数年前に、日本商工会議所の肝煎で、算数・数学と珠算の接点を見つけて相互の関連を明らかにし、共同して研究活動も行っていくことなどを目的にスタートした研究者集団である。組織には5つの分科会があり、その一つに珠算・和算分科会がある。珠算人の会員は殆どがこの分科会に所属している。また、多くの珠算団体が賛助会員として加盟している。
■ 今まで、研究発表雑誌『数学文化』や『別冊数学文化』の発行や年次大会・講習会・研究発表会の開催、「計算力・思考力検定試験」(主催は日本商工会議所)の後援などを行い、数学愛好者の研究意欲を増進させる企画を推進してきた。
■本協会発足以来、日本珠算連盟としては、どのような形で日本数学協会と連携し、共同して研究を進めていくのかが不透明のまま時間が経過した。昨年、初めて東京大学で日数協幹部の先生方と懇談を行い、研究雑誌への寄稿や発表会での研究発表を積極的に行っていくことを確認した。
■ 日数協幹部との今回の懇談では、今一度両者の連携のあり方を討議し、具体的な研究テーマの設定まで行った。まず、初回の共同研究のテーマは、“珠算式暗算のアルゴリズム”とした。珠算式暗算のすばらしさや特異性については広く知られているが、その暗算が行われる脳内でのメカニズムについては殆ど語られていない。先ずは、7月19日に行われるあんざんグランプリ2009に出場する選手の何人かに聞き取り調査を行うことから研究をスターとさせることにした。
■日本珠算連盟第2次そろばん有識者懇談会が間もなく発足するが、約十人程度のメンバーとなる。座長は日数協会長の上野先生を予定している。メインテーマは、「小学校におけるそろばん指導の強化策」+「そろばんで得られる効果の一層の明確化」であるが、今回の懇談からまず手を付けたい研究として、「筆算をそろばんに替えた算数教育」が検討され、同時に教科書を作ってみる、という企画が参加者の賛同を得た。
■ 小学校の算数指導をそろばんを使って1年生から6年生まで行ったらどうなるのか?どのようなメリットが生じ、いかなる問題が出てくるのか・・と言う研究を推し進める中で、いろんな解決を要する課題が見えてくるのではないか。算数指導とそろばん指導の関係や接点の解明が先送りされてきたために、この分野の研究は立ち遅れてしまった。
■珠算教育強化と珠算学習の効用を広く世間にアピールしていくためにも、珠算の基礎研究を今から地道に積み重ねておく必要がある。珠算界の苦手とする領域であるがゆえにしっかり力を注いでおくことが大事と思われる。今後の活動に指針を与える実り多い懇談会であった。
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