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2007年8月28日 (火)

No.96 第12回学識経験者との懇談会:珠算の裏表 at Shinagawa

Photo 8月27日、ホテルパシフィック東京で、日珠連珠算教育強化・連合委員会(19年度第1回)が開かれた。
合わせて行われた第12回学識経験者との懇談会では、朝日新聞本社教育プロジェクト担当プロデューサ上島氏を招き、一味違ったそろばん談義が行われた。

■上島氏は大阪外国語大学でポルトガル語を学んだ異色の辣腕記者で、日珠連有識者懇談会の副座長を務めておられる深江茂樹先生とは昵懇の間柄である。
珠算は小学生時代に学習し、1級合格の腕前である。
もともとは経済部の記者を長年務められて、目下は教育全般をカバーしておられる。
250校以上の教育現場に足を運んで取材を積み重ねる間に、沢山の教師、教育関係者と接触し、日本の教育界が抱える多くの課題、問題点を自身の視点で解きほぐし、独自の教育観を確立してこられた。

Photo_2 今回は、日本の教育全般の中での珠算教育にフォーカスしながら論談した。その中から、注目すべき発言、論点を紹介しておきたい。

①今の日本では、親も子も最短距離でゴールに入ることを至上命題にして、合理性、効率性を最重要視している。その結果、勉強の技術は向上するが、全体をコントロールして、調整・アレンジしていくという知恵(経験)が不足するために、自立・自律を阻害しているのではないか。
②日本の教育から、自立・自律が抜け落ちてしまっている現実をどうするのか。子供の教育を考えるときに、キーワードになる言葉は自立・自律であると考える所以である。
③今の大学生の特色は、精神的には実年齢から10歳引いて考えるべきであるという見方がある。同時に、非常に物事を合理的に考え過ぎてしまう傾向が強いとも言われている。目先の効果につながるものにのみ、強い関心を向ける傾向にある。
④子供の将来を考えると、物事を考えるベースを大きく伸ばしておくのがよい。それがためには、9歳(3年生)までは大いに詰め込んでおくのがよい。子供側にはそれらを受け入れるキャパシティは十分ある。
⑤珠算教育強化運動にとっては、今環境はよくなってきた。素読(そどく)・計算のトレーニングが脳の開発に有効であるという実験データが得られたこと、インド計算術が注目されていること、計算に強いことはいいことだという認識が高まっていることなどがその理由である。
⑥中学年で学習塾に移行していく子供をどう取り込めばいいのか、また、一方で団塊の世代を学習者に取り込む方策はなにかということが今後の課題である。
⑦最短距離で人生を形成しつつある子供たちは➪人間として歪になりやすい➪情操教育が欠落してきている➪表情がなくなってきている/子供らしさが無くなってきていることがそれを証明している。
⑧中高一貫校➪東大・京大といったコースをたどると、子供たちの延びしろが伸びきってしまっているから将来的には問題がある。企業体が求める人材はまた違ったものである。つまり、人間として大事なことは、どれほどの基礎学力が確保されているかと言う部分なのであろう。
⑨企業の多くはハイテクで制御されているため、パンクしたときにはパニックにつながりやすい➪ハイテクのバックアップをローテクでカバーすることが有効であり、その時人間の力が大いに役立つ。そろばんもローテクの典型であり、人間力とそろばん力の役割がそのあたりにあるのではないか。
⑩欧米には、ハイテクのバックアップを人力で行う、ローテクで行うというノウハウはない。日本の裏技として、そろばんでのバックアップという観点も大切なことである。
⑪コンピュータの原点はそろばんであり、そろばんは自立・自律のツールでもある。基礎教育のキーワードはそろばんで確保しやすい集中力と我慢力であり、集中力と我慢力が子供の自立・自律を助けることになる。
⑫母親をいかに納得させるかが最大の課題であり、そろばんを習えば➪何がどうなるのか➪このことをイメージで理解させることを考えるべきである。蔭山先生の、早寝・早起・朝ごはん(30品目)・100マス計算➪学力向上という図式を参考にしたい。
3級合格で何が出来るのか、2級ではどうか、1級ではどんなメリットがあるのかを明快に示す術を考えるのが先決問題である。

Photo_3 以上のような、核心をついた問題提起がなされているので、珠算界ではそれらに対してすばやい対応をしなければならない。納得をするだけで、一歩を踏み出さなければ何も生まれてこないことを確認しておきたい。

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