No.37 寄稿:「一年の計」そろばん教育完全復活元年 in Japan
■大阪珠算協会の月報新年号に“一年の計”を寄稿し、これからの珠算教育界が向かうべき方向と、あるべき活動の内容を推し量りながらまとめてみた。
■教育基本法改正案の成立が目前に迫り、教育再生会議の議論も新たに指導要領見直しにまで踏み込んできた。一方、指導要領見直し作業を行う中央教育審議会の教育課程部会は未履修問題で中断したままになっている。このような状況下で、学習指導要領の改訂は年度内には難しく、来年度以降にずれ込む見通しとなってきた。
■このような局面で、珠算界の行動基準、原理原則を明らかにする意味で、月報掲載にあえて先駆けて本欄に掲載させていただいた。
■“一年の計” 「そろばん教育完全復活元年」
■いま、珠算教育強化を目指す戦いは、きわめて良好な戦況に転じたと断言して過言ではない。このことは、そろばん復権の大きな流れが出来あがりつつあると言い換えることが出来るかも知れない。
■まず、大阪における珠算能力検定試験の受験者数推移は、18年6月度実施分は対前年比較で106%、同年10月度分では同比較で111%となり、右肩上がりの急激な増加を示している。次に、平成12年度にはじめた学校支援珠算指導活動は、年毎にリクエスト校が増加し、17年度は124校で出講指導をおこなった。18年度の出講指導も1月から本格的に始まる。
■さらに、尼崎市が認可を受け16年度にスタートした「計算特区」に基づき新設された計算科でのそろばん指導は、1→5→10校に拡大し指導の実を着実に上げ、19年度はさらに実験校が大きく増える見通しである。
■そろばん教育強化を目指す運動は、以上の各指標が示すように、底固めの作業を終えて一大飛躍を目指す年を迎えたといってもいい。また、ここ2~3年がそろばん教育の完全復活を果たす正念場だとも認識している。
■年頭に当たり、珠算界の活動理念・・・進むべき進路・軌道・・・を今一度明らかにしておきたいと思う。① 技術立国として生きるには、そろばん力が国際競争力のカギ ② 数学に根ざす論理的思考が実社会では大きな財産 ③ 数学はものを考える基礎訓練になり、あらゆる職業に役立つ素養 ④ 珠算学習で計算力向上を計り、考える力や先を見通す力を合わせて確保 これらの実現に貢献することでの社会的評価獲得が活動理念であると考えている。
■次に、珠算界に求められる活動方向については、① 文科省のそろばん理解度向上 ② 学校サイドとの連携強化 ③ 珠算の学術的研究推進 の3つに集約されると思われる。そして、珠算人が、指導現場で目指すべき指導の具体的目標は、① 子供力の向上 ② 子供たちの基礎力再構築 ③子供たちの規律の確保 ④ 彼らの耐力・持久力・集中力強化 ⑤ 子供たちに強力な暗算力授与 の5つにまとめられると考えている。
■今、珠算界全体が、上記の活動理念、活動方向、指導目標を明確にして、時流に乗った珠算教育の強化を図り、若人たちの質の高い人間作りに貢献できれば、珠算の評価が一段と高まることは必定と考えている。
■当面の珠算教育強化は、尼崎市計算特区の実験指導の成功と、学校支援珠算指導活動の長期的遂行を軸にして展開することが理にかなった戦術と理解している。珠算人の英知を結集し、エネルギーを集中投入して、流れを作りながら成果を求めて活動していく・・・・このことが年頭にあたっての“一年の計”である。
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