N0.22 ローマ時代のそろばん in Italy
■塩野七生さん。1968年に執筆活動を開始。70年から36年間イタリアに住み、以来ローマ時代に焦点を合わせて、沢山の著作を発表。2002年にはイタリア政府から国家功労賞を授与されている。
■92年から、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」に取り組み、目下、14巻が刊行されています。第10巻の「すべての道はローマに通ず ローマ人の物語Ⅹ」が、10月1日、新潮文庫から文庫本として発刊された。
■「すべての道はローマに通ず」(上)(下)2冊を購入した。(下)の149ページに“ローマ時代のそろばん”というタイトルの記述がある。当時、abacusと言われていたそろばんがあり、銅製の小型のものが一般に普及しており、子供たちは蝋引きノートに鉄ペン、そしてそろばんを必携して毎日学校に通った・・・と紹介されている。
■当時、7歳から11歳までが初等教育の対象になっていて、読み書きそろばんが厳しく教え込まれていた様子が詳述されている。大型のそろばんを手にした商人の浮き彫りも発掘されていて、そろばんには各種のものがありずいぶん普及していたことが分かる。
■なお、この第10巻は、ローマ時代のインフラストラクチュア・・infrastructure・・つまりハードな恒久的基幹施設からソフトなインフラまでを全てにわたって論じていることで、世界でただ一つの研究であると言われている。現代の文明社会を理解するためにも格好の読み物だと感じている。
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